RSS | ATOM | SEARCH
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

author:スポンサードリンク, category:-,
-, -, pookmark
名古屋地裁の判決について考える

認知症の男性(91歳)が線路内に立ち入り,電車にはねられて死亡した事故の損害賠償を求めた裁判で,名古屋地裁が遺族に約720万円支払うよう命じました。

初見で「えっ!?」という印象です。本人は事理弁識能力にかけている状態でしょうから。
私は法律の専門家ではありませんので,専門的な判断や解釈は到底できませんが,福祉に携わるものとして,司法の判断に対し,感情論だけではなく,いろいろな角度から考えてみました。


・本人の過失はあるか
これはないと思います。認知症で徘徊癖があったということですから,本人の故意又は過失があったとは考えにくいからです。つまりは,本人に損害賠償請求はできないかと。

民法第709条 不法行為による損害賠償
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第713条 (認知症を精神障害とは解釈しないとは思いますが,参考のため)
精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。



・遺族の過失はあるか
ここが争点かと。善管注意義務を怠ったと解釈するかどうか。
しかし,同居している長男は別としても,妻は85歳ですから,情状酌量の余地はあると思います。また,認知症高齢者の徘徊を防止する手立てというのは,監禁等も考えられ,虐待とみなされる可能性もあります。仮に介護サービスを調整していたとしても,24時間監視できる訳ではありませんので,どこかで事故を招いてしまったのかもしれません。となると,認知症高齢者の対応として,介護施設への入所しか道がなく,本人がそれを望んでいないのならば,自己決定権も権利擁護も無くなってしまいます。

民法第714条 責任無能力者の監督義務者等の責任 
前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。




・JRの過失はあるか
遺族の過失と同様に,JR側にも善管注意義務を怠ったのではないか,認知症高齢者等が,線路内に侵入できないような措置を講じていたのかどうかという観点です。
91歳という高齢者ですから,俊敏な動きができるわけがなく,ある程度事前に察知はできたかと思います。物理的に電車が止まることができないのであれば,線路内の侵入者(物)を感知するセンサー等の設置も必要なのかもしれません。(費用対効果は考えていません)
ただ,鉄道事業法や軌道法にも上記措置については触れていないようですので,JRに過失を求めるというのは非常に困難であるといえます。



後記
一般的に,飛び込み事故による損害額は200万円程度で,請求額は100万円程度だそうです。今回は約720万円の請求ということですので,損害額の大きさがうかがえます。
(過失割合が不明ですので,実際のとことはよくわかりませんが…)
これが交通事故であれば,はねてしまった車にも過失割合が生じます。
ただ,電車という,救急車等緊急車両をも止めてしまう公共の乗り物に対しては状況が違うようですね。電車に,侵入者を回避すべく緊急停止する機能を特化させる必要性は低いということでしょう。
しかし,最近の車であれば,ミリ波レーダーやレーザーを使った衝突回避システムが普及してきていますので,電車(車両や設備)にも何らかの機能を追加し,事故防止に努めてもらいたいものです。





author:fineplan, category:社会福祉, 09:29
-, trackbacks(0), pookmark
スポンサーサイト
author:スポンサードリンク, category:-, 09:29
-, -, pookmark
Trackback
url: http://fineplan.jugem.jp/trackback/276